開業前からご相談を受けていたトリマー様がいらっしゃいます。
トリマー歴は3年、独立の経験も顧客基盤もない、完全なゼロからのスタートでした。それでも「いつか自分の店を持ちたい」という目標を明確にお持ちで、準備段階から集客・価格設計・導線づくりを私どもでサポートいたしました。
物件は福岡市外の住宅地。幹線道路から一本入った先にある、静かな路面店です。視認性は決して高くありませんが、落ち着いた雰囲気と駐車スペースが確保できる点を評価し、ここを選ばれました。
開業時の資金は約150万円。
機材・内装・登録費などを差し引くと、広告や運転資金に使える余裕はほとんどなく、集客に対して強い不安を抱えた状態でのスタートでした。
初期課題:集客導線と価格設計のアンバランス
オープン前の価格設定は地域平均より少し高く、小型犬カットコースで8,000円前後という一般的な水準でした。
ただ、立地的に通りがかりの新規流入はほぼ見込めず、リピーター基盤もゼロ。この条件下では、価格よりも入りやすさの設計が重要になります。
SNSもオーナー様自身が趣味程度で使用していたInstagramのみ。オーナー様自身も「この状態で果たして成立するのか」という不安を強く口にされていました。
ここで私が注目したのは、「価格」と「信頼形成」のバランスです。
技術レベルは高いものの、顧客との関係を築く機会が少なく、まず来てもらう仕組みを作ることが急務でした。
戦略方針:あえて単価を下げて入り口を広げる
通常、開業コンサルでは「客単価を上げる」「高付加価値メニューを作る」という方向で改善を図ることが多いですが、このケースでは逆に単価を下げる方針を取りました。
理由は明確です。
- 立地が住宅地で、生活導線上の利用を想定している
- オーナー様が年齢的にも丁度良く、技術よりも安心感・誠実さが武器になる
- 「一度来店してもらえれば満足度でリピートされる」という人柄を感じた
これらの条件を踏まえ、初期段階では広く来てもらうことを最優先にしました。改定後の価格は以下の通りです。
| メニュー | 改定前 | 改定後 | 目的 |
|---|---|---|---|
| カットコース(トイプードル) | 8,300円 | 7,000円 | 新規来店のハードルを下げる |
| シャンプーコース(チワワ) | 5,100円 | 3,300円 | 頻度アップを狙う |
| オプション | 各800円 | 各500円 | まとめ利用を促す |
この値下げ提案は利益を削るのではなく、信頼を得るための投資という位置づけです。
集客設計:SNSと口コミの連動
広告予算が限られていたため、主要な集客手段はInstagramに絞りました。
ただし、一般的な「犬のビフォー・アフター投稿」や「店舗紹介」などでは差別化できません。そこで提案させて頂いたのは、技術ではなく雰囲気を伝えることともう1つは「〇〇〇」です。
※弊社は確実に売り上げと集客を向上させる会社ですので全てはお話しできません。
たとえば「トリミング後におとなしく眠る姿」「初来店の子が少しずつ慣れていく過程」など、サロンの空気感を感じ取れる発信を継続。
現在奮闘されているトリマー様にはかなり厳しい言い方にはなってしまいます。第三者としての意見としましては、トリマーの技術を見せびらかすだけの内容は見ていて「不快感すら」感じます。
主人公では店舗側ではなく、お客様とお客様の愛犬です。
こういった点をまずご理解頂き、意識、考え方から変えていく提案をさせて頂きました。
ここでは全てをお話することはできませんが、これ等を徹底した上で「お客様がワクワクするような」内容で更新頻度を増やしました。
これにより、開業3ヶ月時点でフォロワーが約300人に増加。SNS経由の新規来店が全体の約6割を占めるまでに成長しました。
結果:半年で月100頭・90組を安定集客
もちろんSNS(Instagram)だけではなく、他の事も同時進行で提案させて頂き、実践する事で開業月には「顧客ゼロ」の状態だったにもかかわらず、「46組」のお客様にご来店頂きました。
全くの顧客ゼロの状態で最初から46組の来店はなかなかできる事ではありません。私達の提案と、オーナー様の実践、そして何よりもオーナー様の「人柄」で顧客はどんどん増えていきました。
「試しに来てみた」というお客様の多くが再来店し、口コミが自然発生。そして開店半年後には月100頭・90組を達成。
- 月間来店組数:90組~120頭
- トリミング頭数:100頭~130頭
- 月商:60万円~80万円
特筆すべきは、広告費ゼロでの安定稼働です。客単価を下げているにも関わらず、来店頻度とリピート率の上昇により、結果的に安定した売上を達成できています。
考察:単価を下げる=価値を下げる、ではない
多くのトリマー様は「値下げ=安売り」や「値下げ=悪」と提唱しているのをSNSなどで見かけます。どう感じどう捉えるかは人それぞれですが、あなたの価値を決めるのは「あなたではなくお客様」です。
こういった点を理解できるかできないかで店舗運営は大きく変わってきます。
本質はお客様の行動心理に合わせた価格設計にあります。
特に、開業初期は試してもらう段階です。価格は信頼構築の入り口であり、固定客を得た後にようやく「価値の再評価」が始まります。
今回のケースでは、単価を下げたことで新規接触が増え、接点が増えたことで信頼が育ち、結果的に売上が安定したという好循環が生まれました。
まとめ:リピートを軸にした価格設計の重要性
ドッグサロンの収益を左右するのは、単発の高単価施術ではなく、継続利用の総数です。本事例は、「価格戦略を売上目線から信頼目線へ転換する」ことの重要性を示しています。
開業半年で月100頭・売上60万円を達成できた背景には、
- 来店障壁を下げた初期戦略
- SNSでの空気感重視の発信
- 継続顧客との関係性の強化
という、地道ながら再現性の高い3要素がありました。
開業初期の価格設定は未来の顧客を招くための設計です。単価を下げるという選択が、結果としてブランドを育てることもある――。このサロンの成長は、その最良の証明だと言えるでしょう。
※頭数の割に売り上げが悪いと思う方もおられる方思いますが、地域性が大きく関係しています。


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